ルール和訳公開の是非(4)ゼロサムを読んで、難しい問題だなあと思いました。
リーガル的な面や、ボードゲームショップやボードゲーマーの主張は、たぶんいろいろな方が書くと思うので、私はまったく違う視点から。
ルール和訳の問題は、既存のボードゲームショップのビジネスにマイナスになるという点です。
その根本的な問題は、インターネットとソーシャルです。
実はこれと似た構造が、様々なところで起きています。
一番わかりやすいのは雑誌です。
インターネットの登場で、雑誌はWeb化し、有料ではなく無料になりました。
そんなことは当然じゃないかと言う方も多いですが、この現象によって、多くのライターや編集者の仕事がなくなりました。
また、ブログやツイッターの登場で、情報の入手先が変わってきました。
昔は雑誌からしかボードゲームの情報を得られませんでしたが、今はインターネットで数々のブログが存在し、日々ツイッターでつぶやかれています。
ブログを書けば書くほど、ツイッターでつぶやけばつぶやくほど、ライターや編集者の仕事はどんどん減っていきます。
正直、ライターや編集者という仕事は、一部を除いて、死屍累々です。
最近、いつ有料の雑誌を買いましたか?
昔と同じくらい雑誌にお金を払っていますか?
ボードゲームのルール和訳の問題も、結局同じところに行き着きます。
ルール和訳をブログやWebサイトで公開すればするほど、和訳付きボードゲームショップの首を締めていることは確かです。
ここで道としては2つあると思います。
1)ルール和訳をブログやWebサイトで公開しない
2)別なビジネスモデルに転換する
1)の話は、ルール和訳公開の是非(4)ゼロサムなど、様々なところで書かれています。
これは編集者やライターの話で言えば、ブログやツイッターを止めようという話です。一時期、多くのメディアがインターネットを叩いたのは、そういう理由です。自分たちの仕事がなくなるから怖かったんです。
2)の話はまったく違うものです。今の状況を受け入れ、和訳+αや和訳以外で勝負するというものです。私はどちらかというとこちらのアプローチを応援したいなと思っています。
例えば、コンセプト。すごろくやさんや、ドロッセルマイヤーズさんは、それぞれお店のコンセプトがわかいやすいですよね。そして、そこにちゃんとリーチできていると思います。
例えば、Podcast。ドロッセルマイヤーズさんやテンデイズゲームズさんがやっていますが、これも良い試みだと思っています。私はこの2つを聴いていたこともあり、両方の店舗に行きボードゲームを購入しています。
例えば、オインクゲームズさんはゲームマーケットでとてもわかりやすいPRをしていますよね。とても目立つので、ついついブースに寄って買ってしまいます。もちろんゲームの面白さもありますが、目立つというのはそれだけで大きなアドバンテージです。サイトもとても綺麗です。
例えば、キウイゲームズさんはレンタルスペースを併設しています。行ったことはありませんが、買ったボードゲームがその場で遊べたり、買おうか迷っているボードゲームを遊べるのは、ユーザには大きなメリットです。私が大阪に行く機会があれば、ぜひ寄りたいと思っています。
個人的には、和訳以外の価値を追加していかないと、結局厳しいのだろうなあと思います。
もし、私がボードゲームショップ側の人間だったら、ツイッターでも書きましたが、
1)メーカーの会員制共同和訳
2)日本産のボードゲームを育てる
を実行すると思います。
1)メーカーの会員制共同和訳
メーカー各社から出資して、和訳専門のサイトを用意します。個別に行っている和訳を1つの組織にまとめることで、コストダウンをはかるというものです。会員制にするかどうかは微妙ですが、個人的には、ルール閲覧し放題の方がうれしいので、会員制かなあと思っています。
2)日本産のボードゲームを育てる
実は、こちらが一番現実的かなと。日本産のボードゲームをどんどんアピールすることで、結局ルール和訳の意味がなくなるということです。
個人的には日本のボードゲームもかなり面白いものが多いように思います。それを国内でメーカーが後ろ盾についてプッシュするわけです。
よく考えてみてください。日本で売られているデジタルゲームのほとんどは国産ですよね。ボードゲームだってそうなる可能性があると思います。そして、日本で洗練されたゲームが世界に行くこともあると思います。
このアプローチの方が、最終的に、日本のボードゲーム業界にとっては良いのではないかなあと思っているところです。
他にもいろいろと活性化策はありますが、それは機会があれば。
ボードゲームのネタも恐ろしいぐらいまだまだありますし、悲観的になるならば、前向きに行きたいなと。
あと、まだボードゲームメーカーの体力があるうちに動くことが大切だと思っています。